ためしてガッテン
 

 「しじみ」とは?

本番組では「しじみ」と呼んでいるのは、汽水域にすむ「ヤマトシジミ」。市場に出回っているしじみのほとんど(99%以上)がヤマトシジミです。日本に生息するしじみは他にも清流にすむマシジミ、琵琶湖特産のセタシジミがいますが、どちらも淡水産の生き物ですので、これらは「塩水での砂出し」を行うべきではありません!

 「しじみ汁の飲み比べ」

どちらも材料は全く同じ。水100ミリリットル、しじみ100グラム、みそ5グラム。

ただし、
 A:真水で飼育したしじみ
 B:1%塩水で4時間程度砂出しをし、空中に3時間程度放置したしじみ
と、しじみの下処理の仕方のみが異なっていました。

 「身もシジミあがる大発見」

「1%塩水に4時間」でおいしくなる理由:
シジミの浸透圧調整作用を利用する方法。細胞の内と外の浸透圧を釣り合わせるために、しじみは塩水内では細胞内のアミノ酸を増やします。番組では、様々な塩分濃度で砂出ししたときのアミノ酸量の測定結果と、実際にみそ汁を作ったときの官能検査の結果を踏まえ、「1%、4時間」をおすすめしました。
(シジミの生息環境の平均的な塩分濃度は0.5%程度。普段の生息環境よりも少し強い)

 「衝撃のコクハク」

  • しじみ汁の風味を引き起こした白い粉末:
    コハク酸ナトリウム。食品添加物(調味料)として利用されており、食べても問題ない。

実験:1%塩水で飼育していたシジミと、飼育後3時間空中に揚げて置いたシジミで煮汁を作りました。それぞれ、しじみ100グラム、水100ミリリットルを用い、沸騰してから2分間煮出しました。
→ 顕著な味の差が出ました。これはしじみのうま味成分の一つ、コハク酸の量の違いによるところが大きい。

「3時間空中で放置」の理由

「無酸素状態でコハク酸が増える」のは、シジミに限らずハマグリ、アサリ等、二枚貝に広く見られる性質です。コハク酸は嫌気代謝(水のないところでエネルギーを得るしくみ)における最終産物です。

水から揚げて置いても死なない理由:
水がなくてもエネルギーを得る体の仕組みがシジミには備わっているので、3時間程度揚げて置いてもシジミが傷んだり死ぬということはありません。ただし、湿めり気は必要です(濡れ布巾をかけておくのがよい)。また、長く空気中に出しすぎるのも良くありません。暑い夏場は冷蔵庫などに入れておくほうが安心です。

しじみの冷凍保存について

1%の塩水で4時間砂出しし、3時間水から揚げておいた後、ビニール袋やフリーザーパックなどに入れて冷凍庫に入れれば1ヶ月程度は保存できます。

 「しじみ汁の酔いざまし効果」

実験:被験者10名に、別々の日に同じ量の酒(おおむねビール大瓶1本〜2本)を飲んでもらい、しじみ汁を飲んだ場合と飲まなかった場合で、呼気中のアルコール濃度を測定(飲酒後30分〜2時間)。1時間後のアルコール濃度の推定値で比較。10名中7名、アルコール濃度の低下がある程度認められました。

※ただし、シジミの成分に、直接アルコールを分解する成分は含まれていません。シジミの成分が肝臓のアルコール分解の働きを促進したのではないか、というのが専門家の推測です。

身と汁に含まれるアミノ酸の量

しじみ100グラム、水100ミリリットル、水からシジミを入れ2分間沸騰させる、という条件で、身と汁のアミノ酸量を測定。アミノ酸の47%は汁に出ているが、53%は身に残っていました。

 

 まとめのガッテンタワー「これが究極のしじみ汁」

  • し:塩水1%で4時間砂出し
  • じ:じっと3時間 塩水からあげて待つ
  • み:身も食べレバー(肝臓)大喜び
  • 汁:汁(知る)と知らぬじゃ大違い!

1%の塩水の作り方:1リットルの水に小さじ2杯(10グラム)の塩

 

 実習コーナー

しじみのにんにくしょう油漬け

  • 材料
    • 鍋A
      • 酒 1カップ半
      • 砂糖 大さじ1
      • みりん 大さじ2
      • 薄口しょう油 1/2カップ
      • にんにく 2片
      • 赤とうがらし 2本
    • 鍋B
      • しじみ 500グラム
      • 水 適量(ひたひた)
      • 昆布 7センチ角
  • 作り方
    1. しじみは砂出しし、水からあげておいた上で、表面をこすり合わせるように水でよく洗う
    2. にんにく、赤とうがらしを刻む

    3. 鍋Aに酒を入れ、沸騰させる
    4. 鍋に火を入れ、アルコールを(7割程度)とばす
    5. 火を弱火にし、砂糖、みりんを加える
    6. 砂糖が溶けきったころに薄口しょう油を加える

    7. 鍋Bにしじみとひたひたの水、昆布を入れ、強火で沸騰させる
    8. 沸騰直前に、あくをとり、昆布を取り除く
    9. 口が開いたらすぐにしじみをあげる

      ※[3]〜[6](鍋A)、[7]〜[9](鍋B)は同時進行でOK

    10. 鍋Bの煮汁を1/2カップ鍋Aに加える
    11. あげておいたしじみを鍋Aに加える
    12. にんにく、赤とうがらしを加え、すぐに火を止める

※あたたかいうちに食べても、冷やして食べても美味しく頂けます。(2日程度は冷蔵保存可能)
※残り汁はおひたし、ひややっこ、そうめんのつけ汁に再利用できます。

しじみのすまし汁

  • 材料(5人前)
    • しじみ 500グラム
    • 水 750ミリリットル
    • 薄口しょう油 大さじ1と1/4
    • 昆布 7センチ角
    • ゆず、みょうが、さんしょう、ねぎなど 適量
  • 作り方
    1. しじみは1%の塩水で4時間砂出しし、水から揚げて3時間置いた上で、表面をこすり合わせるように水でよく洗う
    2. 鍋にしじみ、水、昆布を入れ、強火にかける
      ※しじみは水から入れる。
      番組では冷凍したしじみを使ったが、当然普通の(生きている)しじみを使ってもよい
    3. 沸騰直前にあくを取り除く
    4. 沸騰したら一煮立ちさせ、火を止める
    5. 薄口しょう油を加える
      ※しじみのみそ汁を作る場合は、[5]でしょう油のかわりに味噌を適量加える。しじみの風味を楽しむためには味噌をいれすぎないのがコツ。
    6. 椀にもりつけ、お好みの吸い口(ねぎなど)を適量添える